マーケットトピックス H30.11.17

*現代版マーシャルプランか。米国が日本と協力して推し進めるインド太平洋諸国インフラ整備に最大700億ドル(約7兆9千億円)の支援を決めたことは、第二次世界大戦後、ソ連による共産勢力の拡大を防ぐ目的として、大戦で荒廃したヨーロッパ諸国の復興計画(マーシャルプラン)として米国が当時の金額で102億ドル(現在の価値で880億ドル)の援助を行った。その後米ソ冷戦下ではマーシャルプラン後、1950年1月から対共産圏輸出統制委員会(COCOM)が活動を始め東側諸国への軍事技術や戦略物資の輸出が禁止された。今回も、これ以上米中の関係が悪化するようであれば、中国を封じ込める「現代版ココム」が発動される可能性もある。そうなると中国進出企業は一斉に引き揚げなくてはならなくなる。

*北方領土返還交渉について。56年の日ソ共同宣言では、平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡し(譲渡)することが明記されており、今回の安倍首相の要求は四島一括をあきらめ、それに基づくものであるが、今はあまりにも時期が悪い。というのも、ロシアの独裁者プーチンの支持率が年金改革の影響で急落しており、又経済的にもクリミアやウクライナ問題により経済封鎖されていることから景気も低迷しており国民の不満が高まっている中での領土の割譲は出来るはずもない。又、56年の共同宣言も再度検証するとしている。第二次大戦末期、ポッダム宣言を受け入れした日本に対して、日ソ中立条約を一方的に破棄して軍備を解いた日本軍と日本人に襲い掛かり、満州、朝鮮北部、樺太、千島等に攻め込み殺戮と暴行の限りを尽くし次々と占領していった。当時のソ連は共産主義国家であり、共産党独裁国家に約束事も通じるはずもなく、特に満州から逃げ帰る日本婦女に襲い掛かり暴行、殺戮の限りを尽くした地獄絵図は多くの文献や書物で確認出来る。

*原油急落。原油は過去最長の12日連続安(11月13日)となりWTI先物で1年ぶりとなる55ドル台まで急落した。世界的な景気減速やOPEC非加盟国の増産で供給過剰となっている。コモデティ価格も原油の影響を受け、金相場も4日続落となり1トロイオンス1201ドルまで下落している。イランへの制裁に関し、日本やEU諸国8か国への原油輸出が継続されるというニュースも原油相場にマイナスとなっている。*原油下落は世界経済の先行きを懸念しているものと思われる。

*アルミ相場弱し。貿易戦争の影響で輸入制限をしている米国での1月~8月の輸入量が前年同期を44万トン下回り385万トンとなっている。10月下旬のアルミ地金のスポット価格は1トン当たり2400ドル前後と前年同月比3%上昇している。米国への輸入量が減少している分、アジアに滞留し日本等への輸出が増加、日本向け割増金(プレミアム)は7月~9月と比較して10月~12月は22%下落し、1トン当たり2050ドルまで下落している。

マーケットトピックス H30.11.8

*トランプの勝利。今回の米中間選挙は、ある意味トランプ大統領の勝利と言える。確かに下院は8日午前0時時点で民主党222、共和党199となっているが、上院では共和党51、民主党45と勝利した。この度の選挙はマスコミや民主系が打倒トランプで恐らく何百億円もかけた大キャンペーンを張ったのであるが、その割には下院の差は大した差ではなかった。マスコミ等がこぞって反トランプ報道をしまくっていたのにも係わらず逆にこれだけトランプ票があるのかと驚きである。トランプの支持基盤は共和党の支持層の89%、保守層の73%となっており(ギャラップ調査)白人層では圧倒的な強さであるということが確認された選挙でもあった。アメリカはアングロサクソンのものだという意識が強いようだ。

*今の世界の混乱の元凶は、前大統領のオバマである。トランプ大統領ウンヌンは多数の意見があり、明らかにやり過ぎと思われる言動や政策も多くあるというのは事実であるが、中国、北朝鮮、ロシア、イラン、シリア等世界の平和を脅かしている国々に抑制的な影響力を与え続けていることは、余人に出来ることではなく、何物にも代えがたい存在である。ここ何年かのアラブ・イスラム圏での多くの混乱と人民の不幸、中国、北朝鮮、ロシア等の国際法を無視した無法の要因は、これらは「親中」であったオバマ前大統領にあったことは間違いない。オバマの「アラブの春」を煽った言動は、イスラム圏を大混乱に陥れ、何百万人が死に、何千万人の人々を流浪の民と化してしまった。中国、北朝鮮、ロシア等もオバマの口先だけの弱さを見抜き無法行為のやり放題となってしまった。これらの混乱した世界の掃除人として、少しでも平和な世界を構築する為には、やり過ぎトランプおじさんが最適かも知れない。ガンバレ、トランプ。

*石油危機の恐怖。トルコのサウジジャーナリスト殺害事件で窮地に追い込まれているサウジアラビア。トルコ発でサウジの最高機関が絡んでいるとの報道もあり、サウジの対応に世界が注目している。事件後サウジが原油供給に関してこれを武器にもみ消しを図るのでは思われたが、現在のところは米国を始め世界からの非難を浴び、逆にOPECに供給不足の回避を約束したと伝えられており、原油在庫増の影響もありWTI先物で61ドル台まで下落している。サウジは1973年の第4次中東戦争の時に他のアラブ諸国と同調して、イスラエルを支持する西側諸国に禁輸を実施し、世界の原油相場が急騰、日本も「狂乱物価」に見舞われた。これが第1次オイルショックであった。

*中国企業に危機迫る。中国上場企業の負債総額は2017年末で33兆元(530兆円)と5年間で2倍に膨れ上がった。というのは中国当局発表で、実際には、その3倍の約1500兆円とも欧米の調査機関が伝えている。中国政府は企業救済の為、負債の株式化や地方政府による企業への出資を奨励し企業の倒産を回避させている模様である。中国貨幣局の輪転機はフル回転で人民元を大量発行しているようだ。習近平の過剰債務削減策は早くも頓挫、一帯一路、アジアインフラ銀行も苦境入りのようだ。

マーケットトピックス H30.10.29

*米経済に変調の兆し。中国経済の減速が続く中、貿易戦争による負の影響が米企業にも及んで来ている。米主要企業の7~9月の純利益は前年同月比25%とと好調を維持しているが、19年1~3月には、法人税減税の影響も一巡し伸び率は8%に減速すると見られる。又、7~9月のGDPは年率3.5%増であったが、設備と輸出が不振、住宅販売件数も金利上昇の影響がジワリと出て来ており、今後の落ち込みが懸念される。金利上昇の影響は車販売等、高額の消費の落ち込みに繋がる。11月6日の米中間選挙で、下院で民主党が勝利すると上院下院でのネジレが生じトランプ大統領の政策遂行の難航が予想され、減税策第2弾の実現も難しくなり米経済の停滞が現実のものとなる。

*原油相場も先行き予測不能。イスタンブールのサウジ総領事館でのサウジの反政府ジャーナリストが暗殺された事件で、原油市場に暗雲が立ち込めている。この暗殺事件にサルマン国王とムハンマド皇太子がどの程度関与しているのか、それをサウド王家がどのような解決策を取って世界を納得させることが出来るか注目である。殺害したサウジ情報部のリーダーが、ムハンマド皇太子の警護役として常日頃行動を供にしていることから皇太子の関与が疑われている。欧米の出方によっては原油を武器に波乱となることも考えられる。サウジは皇太子が実権を握った16年早々にも47名を処刑しており、大半がアルカイダ系の武装勢力であったが、中にはサウド家に批判的な法学者も含まれていた。

*英雄どこが。シリア反政府武装勢力に拘束されていた安田純平が釈放されたが、これまで何度も「助けて下さい」と放映されていたにも係わらず、家族の謝罪はあったものの、本人は日本政府には謝罪しないと発言する等、なんだこの男はと思われる。この男は過去にイラクでも武装勢力に拘束されその時も日本政府は数億円の身代金を支払っており、この度もカタール経由で3億4千万支払ったようだ。基本的には日本はテロ組織には身代金は支払わないとしており、それにも拘わらず渡航禁止地域に入るということは自己責任は勿論、それを無視して行動するのであれば、身代金も本人負担にするべきである。うがった見方をすれば、テロ組織に資金を供給する為に捕まったフリをしているテロ組織員と見られてもおかしくない。英雄ではなく反社会的人種である。

*先行きはやはり円高か。日米通商会議で為替条項が導入される可能性が強い。9月の貿易収支で対日赤字が増加するようだと、11月6日の米中間選挙を控えたトランプ大統領が、日米貿易不均衡是正について言及する可能性がある。11月2日の米雇用統計の数値、特に物価と雇用の数値に注目である。

*法王の中国との合意に異議。枢機卿がローマ法王の中国との合意を批判。法王は中国共産党がそうであるように、彼らは一度権力者の座についたら迫害者となることを知らないのだ。中国との合意は真の教会の消滅に繋がると警鐘。中国に於ける迫害されている地下教会が消滅させられる一歩となる合意となる。と批判。

マーケットトピックス H30.10.18

*米、毒薬条項(ポイズンピル)で中国締め出し。米国はカナダ、メキシコとの貿易協定(USMCA)に於いて、カナダ、メキシコが「非市場国」との独自の貿易協定を結ぶことを禁止する条項を盛る。「非市場国」というのは、中国を指し、WTO(世界貿易機関)協定に於いて、政府が為替相場や生産活動を統制している国を指す。貿易相手国がダンピングと認定した場合、反ダンピング課税をかけることが出来る。米はこの条項を日本やユーロにも課すとみられ、主な「市場経済国」は中国との独自の貿易協定を結べなくなる。

*現代ビジネスより。

*ペンス副大統領、事実上の宣戦布告か。10月4日の演説は、まるで中国への宣戦布告のようだ。その内容は、

・中国は政治、経済、軍事的手段、プロパガンダを通じて米国に影響力を行使している。

・中国政府は、あらゆる手段を用い米国の知的財産を手に入れるよう指示している。安

全保障に関わる機関が「窃盗」の黒幕だ。

・習近平国家主席はホワイトハウスで「南シナ海を軍事化する意図はない」といった。だが実際には人工島に対艦、対空ミサイルを配備している。

・中国は国民を監視し、反政府的人物は外を一歩歩くことも難しい。

・中国最大の「闇教会」は閉鎖され、キリスト教徒や仏教徒、イスラム教徒が迫害されている。

・中国はアジア、アフリカ、欧州、南米で借金漬け外交を展開しスリランカ等には港湾施設を引き渡すよう要求している。アフリカのジブチにはすでに軍事基地を設置済み。

・米国は台湾の民主主義と日本の尖閣の施政権を支持する。

・中国は、企業、シンクタンク、大学、ジャーナリスト、政府関係者に圧力をかけたり報酬を与えたりしている。

・最近も、ある企業に「米国の通商政策を批判しなければ事業の許可を与えない」と脅した。・

・米国のジョイントベンチャーには、社内に「共産党組織」を設置するように要求した。

・ハドソン研究所も中国政府が好まない講演者を招いただけでサイバー攻撃された。

・中国人の学生は卒業式で「自由な言論の新鮮さ」と語っただけで共産党機関紙が彼女を非難し、家族も嫌がらせを受けた。

・過去の米ソ冷戦は、1946年の「鉄のカーテン」演説に始まり、1989年に父ブッシュ大統領とゴルバチョフソ連書記長によるマルタ会談で終結が宣言されるまで43年間続いた。米中新冷戦が25年間続いたとしてもおかしくない。

*「鉄のカーテン」~英首相のチャーチルが米ミズリー州フルトンでの演説で用いた。

マーケットトピックス H30.10.11

*米ダウ、831ドル安、2万5598ドルと大幅下落、高値は10月3日の2万6830ドルであり、前回の大幅下げ(2月)時には11%下落しており、それから見ると2万3731ドルまで下落か?本年前半2,8%台であった米10年債利回りが、現在3,2%前後まで上昇、これが3,3%を超えてくると、もう一段の下げとなる。

*米ダウの暴落周期の平均寿命は10年6か月であり、現在は暴落カウントまで154日13時間らしい。時期的には、来年3月なかば前後となる。さてどうなることやら。

*数年前まで輸入国であったアセアン諸国の鉄鋼市場が最近は輸出国(サプライヤー)に変貌している。アセアンの中でも最多はベトナムで前年同月比46%増の320万トン、次いでインドネシアが前年比で2倍以上伸びて114万トンとなっている。そのあとは、タイ、マレーシア、シンガポールと続いている。インドネシアには中国の高炉メーカーが進出しており、今後はさらに増加するものと思われる。

*米との貿易戦争、覇権主義を露わにし、世界の嫌われ者になりつつある中国、そしてそれではと日本に秋波を送ってきている。ただ日本は米国の同盟国であり、いまさらの媚にそうやすやすと乗ることは出来ない。中国共産党は人権を蹂躙し、国際的にも横暴さを隠そうともしない反民主的、反社会的な共産党独裁国家である、南シナ海問題でもハーグの国際司法裁判所が、他国領土や公海を埋め立てしての軍事基地等に「ノー」と判決を出したことさえ、そんなものは紙屑でしかないと完全無視、貿易や知的財産問題についても、国ぐるみで謀略の限りと、やりたい放題と放置出来ないところまで来ているようだ。この点ではトランプ支持で間違いないと思われる。他の欧米諸国も漸く中国共産党の厄介さに気づいてきたようだ。

*中国の電気炉操業増加し、スクラップの使用量が1億8000万トンと高炉操業の規制強化と増え続けるスクラップ発生のため、なかば政府の推奨もありスクラップ市場と流通網の整備が進めば今後も増加し続ける模様である。中国のスクラップの年間発生量は2億2000万トンまで増加しており、内、市中発生が1億8000万トン、残りは自家発生屑で、これは主として転炉で消化されている。価格も先物主導で日本円で@43000円前後まで上昇しており、世界のスクラップ価格を引張ってはいるが、この先、米との貿易戦争もあり見通しは、良くはないと見た方が無難である。金利が上昇し株式市場が値下がりを始めると、その何か月後には実体経済が崩れて行くのは歴史が証明している。中国みたいな横暴国家が長く続かないことも歴史が証明している。

*米国の「双子の赤字」が増加中、双子の赤字(経常赤字+財政赤字)が8月までの11か月で8981億ドルとなっており年間では1兆ドルを超える予想となっている。この双子の赤字がGDP比で6%を超えると、ドルが下落する傾向があり現状はすでに6%を超えており、危険水域に入って来ている。FRBも金融政策の正常化策から国債を売却、中国も米中貿易戦争の激化から米国債売却を進めている模様。

マーケットトピックス H30.10.2

*沖縄知事選保守善戦、故翁長知事が急逝した知事選、こういう場合は同情票が多く入りもっと一方的に革新が行くのかなと思っていたが、49万対41万と結構保守陣営は善戦したのではないだろうか。辺野古移設は現在住宅地の中にある普天間基地の移設でしょ、現在ある危険な場所から住宅の少ない辺野古岬への移転なのだから、普天間周辺の人々は大賛成なのに、米軍の駐留自体に反対している連中を革新勢力が利用して一体になって煽り倒しているのが現状。米軍基地を九州各県も少し受け入れることを検討すべきだと思う.斜陽都市の北九州等手を挙げて欲しいと思う。裏金のデパート小沢一郎が御殿のような別荘を辺野古近辺に建てたことはどう判断するべきかな。辺野古に基地が出来ると、原野であった周辺の土地が急騰するらしい。

*中国ネット金融業者の破綻急増。習政権のシャドウバンキング(影の銀行)等に対する規制強化で、すでに20兆円を超える破綻が出ており、更に増加する見込みとなっている。全国各地で抗議デモも増加しており、裏の金融破綻が表の過剰債務を抱える企業等に影響を与えそうである。

*中国の景気対策。中国政府は貿易戦争の影響がジリジリと出てきていることから、5兆円減税を決めた。5月の小売り売上高の伸びが8,5%と15年ぶりの低水準に落ち込んだのを受けての景気対策をインフラ投資ではなく、所得減税を選択した。今後貿易戦争の影響がボディブローのように浸透してくると思われ、過剰債務を抱える中国には打つ手が少なく、経済の落ち込みを小出しの経済対策で凌ぐつもりかも知れないが、かなり厳しい経済運営となりそうだ。

*現在は鉄鋼価格も堅調だが。現在のところ、中国のインフラ投資、日本の災害、五輪需要と共に内需堅調であり、米国もトランプ減税と、25%の鉄鋼追加課税で価格上昇となっており、米国の月間30万トンの輸入量の減少は日中や新興国需要でカバー出来ているようだ。ただ、日本から中国への工作機械等の受注額は8月に急減しており今後の動向には注意が必要である。

*中国での生産企業に動き。中国での生産品を米国へ輸出している企業が生産を他国への移管する検討を始めている。日本企業でも富士通ゼネラルがエアコン生産をタイへ、三菱電機は工作機械の生産を名古屋へ、東芝機械も射出成形機の生産をタイへ移す方針となっている。他の日本企業、欧米企業も貿易戦争の状況を見ながら中国から撤退する企業が増えている。

*国連貿易開発会議(UNCTAD)によると金融危機のあった09年には1,8%のマイナス成長であったが、17年には3,1%まで回復しているが、貿易戦争が続けばサプライチェン(供給網)が混乱し23年には2,4%まで減速すると予測している。企業活動への影響が大きいと、雇用、賃金、個人消費に悪影響を及ぼすとしている。個人的には、現在がピークに近く、来年半ば以降悪化が顕著になると予測する。

マーケットトピックス H30.9.25

*原油先物は、23日にアルジェリアのアルジェで開催されたOPEC(石油輸出国機構)の会合で増産の見送りが決定された。WTI72ドル台、北海ブレンドは81ドル台まで上昇。イラン、リビア、ベネズエラと国情不安の産油国が多く、当面高止まり相場が続きそう。トランプ大統領は、ツィッターで「市場を独占するOPECは今すぐに原油価格を下げろ」と吠えているが・・・。米国のイラン制裁の再発動は11月から。

*トルコで幽閉されている、米牧師のアンドリュ・ブランソン氏について、米国務長官のポンペオ氏は、今月中に釈放されるだろうと述べた。下落していたトルコリラが反発、新興国通貨下落の一因となっていた米国とのトラブルは解決の方向か。トルコのエルドアン大統領も近々、訪米との噂も流れている。

*中国はトランプ政権の第3弾の、2000億ドルの制裁関税に対抗して、約600億ドルの報復関税を発動した。中国の報復関税の合計額は1100億ドルとなった。(米国は約2500億ドル)その他、中国は米企業に対する規制強化や基幹部品の輸出規制等を検討中。一方、中国に進出している米企業等も海外移転を模索する動きも出ている模様。

*米中貿易戦争の日本企業への影響は、中国で生産し米国へ輸出している企業、米国へ完成品を輸出している企業へ日本から部品や機械を輸出しているメーカー等に影響が出て来るものと思われる。10月以降これらの企業への影響が出てくる可能性が指摘されている。又、関西空港や千歳空港が災害でストップしたことも今後輸出面での影響がありそうだ。

*この貿易戦争の根深さは、貿易面で米国の利益を守るというのは、表向きのことであり、本来の目的は、人権無視の共産主義で覇権主義を露わにしている中国が軍事的、経済的に世界の頂点を目指す動きと野望を明らかにしたことで、その動きを阻止しょうとするものである。かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれ快進撃を続け米国内の不動産を買いまくっていた日本を金融、経済的に叩き20年間の低迷に追い込んだように、中国も同様に叩こうという動きである。この動きはトランプだけでなく米国と欧米諸国の総意と見てよさそうだ。従って、今後何年にも亘っての戦いとなる。

*英国のユーロ離脱交渉が、袋小路に入ったことでポンド下落、合意なき離脱もあり得る状況となっている。ユーロ圏の金融の中心であったロンドンシティからは金融機関がユーロ圏のアムステルダム、フランクフルト、パリ等に本拠地を移し始めており合意があっても、なくても英国にとっては厳しい状況となりそうだ。英国では悪い合意よりも合意はなくても良いという見方もあるようだ。

マーケットトピックス H30.9.17

*原油高騰の兆し。イラン、リビアの原油供給懸念から、原油相場は高値での推移となっているが、ニューヨーク市場のWTI(ウェストテキサスインターミディエィト)の70ドル前後に比べて、ロンドン市場の北海ブレンド原油先物は一時80ドルを超えてきた。この為、米国の原油輸出は増加しており6月中旬には日産300万バレルと過去最高を更新している。ハリケーンや地政学的リスクから、米WTI価格も堅調推移する見込みである。

*太陽光発電の買取価格、半額に。政府は2020年代半ば位に、太陽光発電の買取価格を半額以下にすることを決めた。事業者分が1キロワット18円を8.5円、家庭用26円が25~27年に11円となる予定。再生エネルギー関係は、日本の買取価格が他国に比べかなり高く、中国等からの参入が増加しており、電気事業は国の安保にも関係することからの判断と思われる。

*米、中国の人権問題に言及。トランプ政権は中国のウィグル族に対する人権問題を取り上げる。多数(100万人規模)のウィグル人を拘束し、強制的に宗教(ウィグル族はイスラム教)、共産党思想の教育をしている模様。新疆ウィグル地域(旧東トルクスタン)

チベット地域、内モンゴル地域では中国共産党等に抵抗する人々を連れ去ったり、村や町を強制的に撤去したりして、そこに中国人を入れ中国化を図っている。トランプ政権は企業や中国高官に対する制裁を検討中。

*トランプ政権内部の暴露本でトランプ窮地か。ワシントンポスト紙のボブ・ウッドワード記者がトランプ政権内部の協力者からのリークにより、ロシアゲート疑惑等が深刻化する可能性が出てきた。ボブ・ウットワード記者は、カール・バーンスタイン記者と共にウォーター事件を追及して、当時のニクソン大統領を辞任に追い込んだ伝説の記者。

*中国国有大手の債務膨張。非金融部門の製造業では、債務の合計額が既に対国内総生産(GDP)比が200%を超え、今後5年間で300%前後まで膨張すると予測されている。共産党政権では、その強権でリスクは隠してしまい金融市場をコントロールしている。*2017年には約255%まで跳ね上がっており、金融リスクは10年前の米国のリーマンショック時170%、1990年代のバブルが崩壊した日本では約220%であった。

*米利上げは新興国経済に更なる打撃。先週の米雇用統計では、最も重視されている平均時給が27.16ドルと前年同月比で2,9%増え、リーマンショック前以来の9年2か月ぶりの伸びとなった。現況でもトルコ、アルゼンチン、インドネシア、南アフリカ等では通貨安からドルが逃げ出しており、輸入物価も高騰してインフレが進んでいる。これ以上、ドルの独歩高が進んでくると、新興国だけではなく世界全般で金融情勢が悪化することになる。*いろいろなリスクが高まっており、来年度はどうも嫌な予感がする。オリンピックの前年位から経済が悪化するとも言われている。

マーケットトピックス H30.9.7

*トランプ、これから日本と貿易交渉だ。米の対日赤字が拡大してくると、9月下旬に予定されている第2回日米通商会議(FFR)での貿易不均衡是正圧力への警戒感が高まる。トランプ政権は、対墨、対加、対ユーロに於いて厳しい対応をしており、2017年我が国の対米黒字、約7兆円のうち5,4兆円が自動車関連であり通商拡大法232条の適用による自動車関税25%が発動される可能性もある。

*中国鋼材先物反落。政府によるインフラ投資、10月からの環境減産への思惑で鋼材価格は上昇していたが、現況では高値調整的な値下がりとなっているようだ。9月は10月の環境減産を控えての駆け込み増産となると思われるので、調整は一時的と見る向きが多い。ただ、米との貿易戦争による影響はボディブローのようにジワジワ利いてくるものと思われるが、スクラップ需給だけみると電炉操業が飛躍的に増加している現状から、大幅な下落場面は、大規模な環境激変局面がない限りないように思われる。中国政府も比較的クリーンな電炉操業には好感的である。一方、株式市場は貿易戦争の深刻化からと、政権のシャドウバンキング(影の銀行)規制により値下がりが続いている。

*米スクラップ反発。米のトルコ向け輸出価格がようやく持ち直してきた。対米との関係悪化からトルコリラの暴落、インフレの加速、経済状況の悪化が続いており、さすがのスクラップ輸入世界一国も為替安、景況感悪化に苦しんでいたが、好調な世界経済からユーロ圏ヤロシア等を中心に需要は活発であり、電炉操業も漸く上向きとなってきたようだ。又、サウジと対立しているカタールをトルコが一貫して支援していた影響で、カタールもトルコの窮状に1兆6000億円の投資を決めた。

*今の中国の覇権主義は。まるで16世紀~18世紀にかけて、イギリス、スペイン、オランダ、フランス、ポルトガル等がアジアやアフリカ、南北アメリカ大陸等で植民地獲得のために戦いを繰り広げた「重商主義」時代を見るようである。当時の重商主義は貿易、宗教、軍隊を絡めて世界各地に進出し植民地支配を広げて行くというもので、最終的には「東インド会社」という貿易商社を隠れ蓑にして支配を広げたイギリスが世界の覇者となった。現在中国が国を挙げて力をいれている「一帯一路」は現代版「重商主義」の復活である。重商主義時代に「清」の国であった中国はイギルスから「アヘン戦争」でこっぴどく叩かれ,「清朝」滅亡のきっかけとなった。その中国が現代版「重商主義」で世界制覇を企んでいる。

*ベネズエラ、年間の物価上昇率20万%に。先月デノミネーションを行った影響が大きく国民の近隣諸国への脱出が続いている。反米のチャベス前大統領のあとを受けたマドロウ政権で、経済危機はまして来ており「デフォルト」もありうる深刻な状況となっている。これにも中国が絡んでおり中国からの借入返済の為に収入減の原油を安く抑えられているようだ。まるで骨までしゃぶる高利貸し国家である。

マーケットトピックスH30.8.31

*中国スクラップ過去5年の最高値。特級ベース2574元(約42000円)8月末までは北京、天津地区中心に高炉操業が50%に制限され電炉鋼での生産が増加してはいたが、9月は、10月からの環境減産に備え、駆け込み増産が行われる。その為、当面は強気相場が継続されそう。

*米、貿易制裁第3弾。米は9月より中国への制裁として2000億ドル相当の追加関税を実施する。新興国通貨も実質破たん状態にあるベネズエラの他にアルゼンチンが政策金利を15%引き上げて年60%に設定、1ドル=41,36ペソまで下落している。トルコリラ、南アランドも最安値を更新中。ただ、ドル高新興国通貨安となっている、米利上げもトランプ大統領がドル高金利高を嫌う発言を繰り返しており、FRBが予定している今年2回、来年2回といわれる利上げも微妙な情勢となりつつある。

*原油、再び70ドル台へ。11月に発動する米のイランへの経済制裁で、日本やユーロ等の原油取引中止に伴って、イランの産油量が減少、ベネズエラの原油輸出も大幅に減少して、需給ひっ迫懸念から原油価格が続伸した。

*中国経済難しいかじ取り。貿易戦争下、習政権は過剰債務解消(デレバレッジ)も目指している、特にシャドウバンキング(影の銀行)の規制を強化している。その為一部企業ではすでに資金繰りに窮しており、中国の今年1月~6月の社債のデフォルト(債務不履行)は前年同期比36%増の約190億元(約3100億円)となっている。今後貿易戦争が長引けば、更に数倍規模のデフォルトが起こるものと思われる。

*新興国も相当厳しくなる。低金利で資金調達を図っていた新興国に、今後3年間で毎年100兆円を超える債権の償還を迎える。ドル高で新興国資金が流出する中、借り換えとして、より高金利の債権を発行することになり、通貨安、金利高により経済的な厳しさが増すことになる。償還額の多くを占める中国では、今後3年間に1兆7531億ドル(195兆円)と新興国全体の54%になる。現在の中国の外貨準備高は3兆1121億ドル(約342兆円)となっている。

*米、利上げ打ち止めか。FRBのパウエル議長はジャックソンホール(世界の中央銀行関係者の集い)で「インフレが2%を超えて過熱するリスクは見えない」と発言し、市場では米国の利上げ打ち止めが近づいているという見方が広がった。*トランプ大統領がFRBの利上げ継続路線を批判していた。*米FRB高官「2018年の米経済は好調だが2019年と2020年は減速する可能性が大きい。」

*米利上げ打ち止めとなると、ドル高に苦しむ新興国には朗報となるが、円にとっては円高要因となり、日本やユーロについてはマイナス要因となる。

*韓国の雇用者数、7月はとうとうプラス5000人。ここ数年20万人~50万人で推移していたが、文政権の経済政策の失政から(最低賃金の値上げ等)逆に中小零細企業では雇用者数を減少させている。来年度も上げる予定となっている。