2016年5月26日より、1000円値下げ。

 国際価格は先物主導で動いていただけに、値が消えていくのも非常にスピーディである。これだけ早いと現状分析も限られてくるが、中国市場、主に上海市場となるが、株式にしても先物にしても不動産にしても何でも過熱過ぎるのが常である。中国人は無類のバクチ好きらしく、これだと思った市場に一斉に向かうものだから、市場では、とんでもなく値が飛んでしまい、上げ過ぎた後は必ず暴落である。鉄屑も昔は現物だけの需給の世界で、相場の動向はメーカーさんの在庫の増減で、ある程度判断出来た狭い世界の相場であったが、今では国際市場しかも為替市場、先物市場全般、米国市場、中国市場、トルコ市場等の動向、鉄鉱石、原料炭、原油の発生、在庫、契約状況、バラ積船のバルチック海運指数等々、すべてを見なければ相場の予測は中々出来なくなっている。今は明日からの伊勢志摩サミットで何が出て、その後の日本政府の動き、円はどうなるのか、消費税はどうするのか、財政出動はどの程度の規模なのか、日銀は更なる緩和を打ち出すのか等々、国内だけの大きな物だけでもこれだけある。話は変わるがG7で「市場経済国」への中国の認定は先送りとなりそうだ。現在の中国は新興国待遇の「非市場経済国」とされており、反ダンピング(不当廉売)の扱いを受け易い立場にある。中国はWTO(世界貿易機関)に「市場経済国」にせよと圧力をかけているが、最近の鉄鋼輸出に見るように安値輸出を大量に続ける限り、これを認めることは出来ない。中国が「市場経済国」にあたいする取引をしない限り、様子見となるようだ。果たして今の中国が国際協調出来るようになるのか、甚だ疑問である。

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2016年5月24日より1000円値下げ

 先物主導の価格急騰相場が終了し価格の調整が始まった。今年に入って約1万円上昇したので、取敢えず半値落ちの5000円下げが節目と考えられるが、中国では増産が継続しており、景気の落ち込みと共に、また中国が安値の輸出攻勢を掛けてくることも十分考えられる。中国は共産党国家なので、いくら業界ベースで設備廃棄や減産調整の話し合いをしてみても、政府が国営企業の巨大化と輸出振興に力を入れている以上、トップダウンで話が覆ることが多く、OECD等国際レベルでの話し合いにしても、企業の輸出に政府の補助金等が入れば反ダンピング法に抵触するのだから、中国の国営企業は全てそれに当たることになり国営企業の巨大化を目指す中国としては、それを認めることはないであろう。これは鉄鋼だけのことだけではなく、セメント、ガラス、非鉄金属等々様々な業種がこの様な状況に陥っており、現在はアセアン諸国がこの影響を強く受けており、欧米は一部鉄鋼業界に悪影響が及んでいるだけなので、比較的に友好的ではあるが、いろいろな分野に影響が出てくると、とてもこのままでは済まされないであろう。このたびインドやベトナム等に続いて米国も中国産冷延鋼板に265,79%の反ダンピング税を課せた。但し日本製に対しても71,35%課せられた。米国際貿易委員会(ITC)が被害認定すれば適用される。中国だけだと文句が入るので、日本はダシにされたのかも。

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2016年5月20日より2500円値下がり。

関東、関西の輸出価格が大幅下落、5月の連休前よりアジアの鋼材価格は下落していたがタイムラグもあり今回の値下がりとなった。本年に入り1万円程値上がりしていた鉄屑の上昇は終焉を迎えてようだ。今回の予想外の値上がり(一般的には4000円~5000円の予想)は、他のコモデティ価格と同様に鉄屑も先物相場に振り回された結果である。この先はどうなるのか考えると、まず米国の金融市場動向、大統領選挙前で政府は利上げを避け、ドル安に持って行きたいところであるが、目近の米指標が悪くなく一時遠のいていた利上げ機運がFRB中心に頭をもたげて来ているようだ。米利上げは原油を含むコモデティ全般、新興国通貨及び経済にはマイナス要因となる。又、英国のEU離脱問題は残留派が巻き返し60%程の支持を集めているので、ほぼないとは思われるが、ユーロ圏で大きなテロ等が起きると、ひっくり返る可能性がある。もし離脱ということになるとリーマンショク級の大波乱となると予想される。為替はリスク回避の円買いとなり予想外の円高となる。原油相場もカナダの森林火災、ナイジェリアの油田設備に対するイスラムゲリラの相次ぐ攻撃により供給が落ちていることや、米ゴールドマンサックス社の今年後半の原油価格見通しを20ドルから50ドルに引き上げたことにより、原油価格も50ドル近くまで上昇しているが、この価格も鉄鋼関連同様、先物主導の行き過ぎ価格となっている。又、今回の上昇相場の核となっている中国は、それまでの景気の落ち込みで在庫がスカスカとなっているところに、大きな財政出動となったものだから実需、先物市場に一斉に買いが入り、すべての商品が予想外の値上がりとなった。この状況下で操業を止めていた企業、設備も再稼働させた為、相場上昇も長くは続かなかった。中国は今回の景気対策で更なる債務を増大さすことになり、中国経済の停滞は更に長期化することになった。目先は上昇の半値落ちと見た方がよさそうだ。

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2016年5月10日より、1000円値上げ。

先物先行の値上がりが、鉄鋼製品だけでなく、原油を始めコモデティ全般に亘って進んでいる。きっかけは、3月の中国全人代での年間2兆元(約34兆円)規模の交通インフラ中心の財政出動が政策決定されてからで、昨年末から暴落していた株式市場よりの資金が一挙に先物市場に流れ込んで、早くもバブル相場の様相となっている。この為、上海先物市場は信用規制に乗り出している。しかし、中国の景気指数は芳しくなく、1~3月のGDP(前年比)は6.7%増(これは世界中の誰もが信じてはいないが)、5月3日発表の4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は予想50.4に対して50.1と悪化傾向、

5月8日発表の4月の貿易総額は5.8%減、(輸出は前年同月比1.8%減、輸入は10,9%減)と悪化が止まらない状況だ。*貿易収支は相手国があることなので信頼出来る数字である。又、米国の1~3月GDPも0,5%増と予想の1%より悪く、先週発表の米国重要指標の4月の雇用統計の非農業部門雇用者数も20万人増予想が16万人増と悪化している。中国は一昨年以降5度に亘って利下げし、5月からは税制改革で8兆円もの企業減税も実施、4月20日には中国国務院が貿易業者に対して税還付や融資条件緩和等の貿易促進策を決めるなど、あの手この手の対策を打ち出してはいるが、不動産バブルや商品先物バブルを引き起こすだけで、不良債務を増大さすだけで本当の景気対策にはなっていない。上海の株式市場は公的資金で支えていたが、節目の3000ポイントを割り込み2800ポイント台まで下落している。従って、鉄鋼製品を含むコモデティ全般の先物主導による過熱相場も、すでに曲がり角に差し掛かっているものと思われる。そろそろ終焉を迎えることになる。

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