No.31-遠吠え通信迷惑版

*中国が無制限のシェア拡大を図ろうとしている。

中国の安値輸出が世界の鉄鋼メーカーの収益悪化に大きな影響を与え続けている。各国政府は、その対応に追われて来てはいるが、この問題は短期では終わらないということだ。又、これは鉄鋼市場だけではなく、全てのコモデティ関連、業種に及んでくるということだ。 
 習近平は、これから始まるAIIB(アジアインフラ投資銀行)や、IMF 
(国際通貨基金)のSDR(特別引出し権)を一帯一路政策に絡めて国営企業の強化策に乗り出しており、巨大化して国営企業で市場を寡占していくことを考えているようだ。 
 国営企業は習近平一派の利権の温床であり、これを伸長さすことで国内での政治的安定を図り、自身も独裁者として君臨したい、これが習近平の夢であり目標でもある。 
 その実現の為には鉄鋼であれ他の業種であれ、それぞれの市場を独占していく、 
中国を全ての面(政治、経済、軍事)で世界一にする、これが目標である。 
 従ってシェア拡大の為には、なりふり構わず(人の迷惑など顧みず)突き進むようだ。話し合いも協調等もしない、仮に話し合ってもその間もシェア拡大を図っていく、これが中国の正体である。 
 世界中のありとあらゆる業種、企業はこれから長丁場を覚悟してフンドシの締め直しが必要である。

*中国経済は火の車!!

 中国経済は打つ手なく、中国人民銀行が人民元を大量に発行し続けて何とか重厚長大企業は経営を維持させてはいるが内情は火の車である。本年は昨年度より更に赤字が増大させ、結果過剰債務も更に拡大しているというのが実情である。

 共産党独裁国家なので、戦時中の日本の大本営発表と同じく、負け続けているのに国営放送で勝った勝ったと国民を騙し続けたのと同様、嘘っぱちの数字を並べているだけである。

 中国経済が追い込まれていると思われる(第一)は、マネーサプライ(貨幣流通量)の異常な増大である。2015年9月の時点で広義のマネーサプライ(M2)は前年同月比13.1%増の135兆9800億元(約2552兆円)もありGDP比でも200%以上となっている。ちなみに米国の比率は約70%である。 
*中国経済は火の車2 
 ここもと不動産バブルが弾け、株式市場が暴落し金融機関は不良債権が増大、中央銀行が緊急的に資金注入しており、実際のマネーサプライはもっともっと大きなものと考えられる。 
 (第二)は、地方政府の莫大な債務だ。2014年末の時点で国全体の債務は150兆300億元(約3000兆円)もあり、これはGDPの235%で、2008年に170%であったので、毎年かなりの勢いで増大している。

 その内地方債務は24兆元(約480兆円)あり、本年は返済不能となった地方政府には国庫より3兆2000億元(約64兆円)を融資したが、地方債務が更に膨らんだだけである。ここらはもっと隠れ債務がありそうだ。

 地方政府は本年中に1兆8600億元の返済をしなくてはならず、最終的には人民銀行がお札を刷り、貸し付けることになるが、地方政府の借金は増え続け、まさに借金バブル(地獄)状態となる。

 この地方政府と一蓮托生なのが、(第三)に多額の不良債権を抱える銀行業界だ。 
地方政府、国営企業、更に証券業界にまで資金負担が増大しており、表向きの不良債権額は1兆8000億元(約360兆円)となっているが、これも相当甘い数字ではなかろうか。地方政府とともにいつ倒れてもおかしくない状況だと思われる。

 現在の中国を見る限り、全ての面でいつデフォルトしてもおかしくないような巨額な債務が並んでおり、さらに過剰設備等の調整が始まるとすれば、さらに債務が膨らむことになり、強権的に人民元を刷り続けマネーサプライが膨らみ続ければ、いつか人民元は大暴落し、不況下のインフレーション、即ち大スタグフレーションを起こすことになる。これで共産党政権が倒れ民主化すれば、中国国民や周辺国にはハッピーな結果となる。

*中国不況は習近平不況。

 習近平は中国経済の再生の要となる国営企業の民営化等さらさらヤル気などなく逆に強化することに向かっている。何故なら国有企業を民営化すれば自らの利権を失ってしまうからだ。習近平の最大の目標は、最大の利権をもつ上海閥の江沢民一派を壊滅させ、石油、鉄道、電力、資源等の利権を奪うことに尽きる。その利権の温床が国営企業であるからだ。

*中国不況は習近平不況2

 現在「独裁者になりたい習近平」は、中国の経済問題、国民の幸福等を考えるよりも権力闘争で対立する相手方の粛清等を何よりも優先し、自身の利権拡充のために国営企業の巨大化しか考えておらず、このままでは中国経済のハードランディングは避けられない。

 中国には大きな3つの派閥があり、江沢民を中心とする「上海閥」、自身の力でのし上がってきた「団派(中国共産党青年団)」、革命元老の子弟グループで作られている「太子党」がある。習近平は太子党に属しており、今の地位にいられるのは、もっとも利権も力もある江沢民率いる上海閥の後押しでなれたものであるが、

 その利権と力を自派閥に取り込む為に、腐敗撲滅という大義を掲げて江沢民派の幹部たちを不正が発覚したと次々と検挙し追放している。(中国では恩を仇で返す感情のない政治家といわれている)国営企業や軍部から他派閥の者を追い出し自身の子飼いや太子党の仲間を入れ込み、せっせと利権の拡大を図っている。

 腐敗撲滅で虎もハエも叩くと国民にはアピールしてはいるが何のことはない他派閥を追い出して自派閥に利権を取り込んでいるだけである。

 2015年8月に国営企業改革に対する指針を出したが、それによると「強大で優秀な国有企業を作り中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現に積極的に貢献することを目的とする。」 
   
 国有企業をさらに充実させ巨大化するというものであるが、本当に世界の市場で戦える企業にするのであれば、民営化→市場での競争→企業の発展というのが本来のものであり、企業群が大きくなればそれが国の発展にも継るものである。

 そういう市場経済の発展原理を無視してでも、国営企業をさらに巨大化させ市場の寡占化を図り多くの利権を取り込んでしまおうというのが習近平の目論みであるが、肝心の役人たちは、腐敗防止で多くの同僚たちが失脚していくなか自分達もいつそうなるのかと戦々恐々としており何もしない、出来ない状況であるようだ。

 これでは、中国経済の立て直しは、とても出来ないということであろう。 
*道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である。・・・二宮尊徳

 

*住友商事またも大きな損失か。

 一年ほど前に、シェールガス開発の失敗で1600億円もの損失を計上した住友商事が、今回はマダガスカル島のニッケル開発プロジェクトにおいて、当初1700億円としていた開発資金が最終的に3000億円弱かかり、又、ニッケル価格の下落もあり 
年間200億円の損失が発生している。この状況が継続すれば、再び多額の減損処理を計上することになるかも知れない。

*豊田通商、スクラップ会社への投資で減損。

 豪州やカナダのガス事業で180億円の減損を計上する他、ドイツの世界2位のスクラツプ会社ショルツ社に投資し、スクラップの大幅下落や、シュルツ社自体の多額の負債の為、2014年度140億円の損失を計上した。

*神戸製鋼、中国事業低迷で株式時価総額半減。

 中国の建機販売等が低迷期初200億円の利益予想が30億円に大幅に減額された。中国では最大手コマツも500人の人員削減等、3次産業等を除く製造業全ての業績が悪化している。中国から撤退する企業も増加して来ているのが現状である。

北九州市 解体業 石川興産