マーケットトピックス H30.11.17

*現代版マーシャルプランか。米国が日本と協力して推し進めるインド太平洋諸国インフラ整備に最大700億ドル(約7兆9千億円)の支援を決めたことは、第二次世界大戦後、ソ連による共産勢力の拡大を防ぐ目的として、大戦で荒廃したヨーロッパ諸国の復興計画(マーシャルプラン)として米国が当時の金額で102億ドル(現在の価値で880億ドル)の援助を行った。その後米ソ冷戦下ではマーシャルプラン後、1950年1月から対共産圏輸出統制委員会(COCOM)が活動を始め東側諸国への軍事技術や戦略物資の輸出が禁止された。今回も、これ以上米中の関係が悪化するようであれば、中国を封じ込める「現代版ココム」が発動される可能性もある。そうなると中国進出企業は一斉に引き揚げなくてはならなくなる。

*北方領土返還交渉について。56年の日ソ共同宣言では、平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡し(譲渡)することが明記されており、今回の安倍首相の要求は四島一括をあきらめ、それに基づくものであるが、今はあまりにも時期が悪い。というのも、ロシアの独裁者プーチンの支持率が年金改革の影響で急落しており、又経済的にもクリミアやウクライナ問題により経済封鎖されていることから景気も低迷しており国民の不満が高まっている中での領土の割譲は出来るはずもない。又、56年の共同宣言も再度検証するとしている。第二次大戦末期、ポッダム宣言を受け入れした日本に対して、日ソ中立条約を一方的に破棄して軍備を解いた日本軍と日本人に襲い掛かり、満州、朝鮮北部、樺太、千島等に攻め込み殺戮と暴行の限りを尽くし次々と占領していった。当時のソ連は共産主義国家であり、共産党独裁国家に約束事も通じるはずもなく、特に満州から逃げ帰る日本婦女に襲い掛かり暴行、殺戮の限りを尽くした地獄絵図は多くの文献や書物で確認出来る。

*原油急落。原油は過去最長の12日連続安(11月13日)となりWTI先物で1年ぶりとなる55ドル台まで急落した。世界的な景気減速やOPEC非加盟国の増産で供給過剰となっている。コモデティ価格も原油の影響を受け、金相場も4日続落となり1トロイオンス1201ドルまで下落している。イランへの制裁に関し、日本やEU諸国8か国への原油輸出が継続されるというニュースも原油相場にマイナスとなっている。*原油下落は世界経済の先行きを懸念しているものと思われる。

*アルミ相場弱し。貿易戦争の影響で輸入制限をしている米国での1月~8月の輸入量が前年同期を44万トン下回り385万トンとなっている。10月下旬のアルミ地金のスポット価格は1トン当たり2400ドル前後と前年同月比3%上昇している。米国への輸入量が減少している分、アジアに滞留し日本等への輸出が増加、日本向け割増金(プレミアム)は7月~9月と比較して10月~12月は22%下落し、1トン当たり2050ドルまで下落している。