No.47-遠吠え通信迷惑版

遠吠え通信迷惑版(28・10・11)

*悩ましい為替動向

 米経済指標が、いいと思えば悪く、悪いと思えば良好と、経済の動向が見通しにくい中で、米経済指標は2回目の利上げを判断するまでの力強さに欠き、大方の予想に反して円相場はジリジリと104円台前半までの円安となった。

 先週の重要指標、9月の米雇用統計も市場予想18万人増が15万6千人増に留まり、又、失業率も4,9%予想が、5,0%と3か月ぶりに悪化した。ただ平均時給は25,79ドルと前年比2,6%増加し、今後の雇用統計とISM景況感指数次第では、12月の利上げは排除されていない。

 ちなみに、9月のISM製造業景況感指数は51,5と予想の50,3を上回り、非製造業景況感指数は57,1と予想の53,0より好指標であった。

*日本、緩和打ち止め。

 日銀総裁の、これ以上の金融緩和はないとの発言から、105円を超えての円安は考え難く、米指標やユーロ、中国次第で円高方向へ進む可能性は強いと思われる。目先は95円~105円のレンジ相場と思われる。(ユーロも打ち止め方向)

 又、米経済の個人消費は好調さを維持しているが、ここで問題視されているのが、企業部門の設備投資が3四半期連続してマイナスとなっており、これは景気拡大し始めての7年間で初めてのことである。この要因はトランプリスクと思われるが、我が国の景気の為にも、早くトランプを排除して貰いたいものだ。

*ポンド急落、乱高下。

 英メイ首相が来年3月までにEUを離脱すると通告し、柔軟姿勢から一転ハードブレクジット(強硬離脱)に変わったことを嫌気してポンドの急落が始まった。

 特に7日の日本時間8時過ぎに、大量の売り物が出され、ポンドドルは1,26ドル前後から1,18ドルへ、ポンド円は131円前後より121円まで数分で暴落、その後1,23~1,24ドル、127円~128円まで戻してはいるが、対ポンドは今後も上下に大きく振れる可能性は強い。

 この巨額の売り物については、ケタを間違えた誤発注が発生し、その後の急落に自動売買のアルゴリズムが反応し売りが売りを呼んだのではないかとか、ドルを大きく売れない中国が大量のポンドを処理したのではないかとかの憶測が出ている。

 現実的にもユーロ側が離脱する英国に対して甘い対応をとらず強気姿勢で臨むとしており、英国はかなり難しい対応を迫られることになりそうだ。ポンドの乱高下(主には下方向)は今後も続きそうだ。

*中国不良債権、更に急増中。

 9月28日の「遠吠え通信」で中国の銀行の不良債権を、中国側発表で40兆円、海外の調査機関の調べで130兆円としたが、このたびIMF(国際通貨基金)が発表した4月中旬時点の数字によると、融資残高に対する不良債権は14%、国内総生産(GDP)に対する比率は20%に上ると発表した。

 何とIMF報告では、約230兆円もの不良債権があるとの発表であった。中国では貸す側の銀行も、借りる側の国営企業も首脳は共産党の幹部であり、お互いの政治的話し合いで決められていく、企業業績や将来の見通し、担保の有る無しには関係なしに貸し出されていくので、企業債務は膨らむ一方となり、銀行も返済されるあてもない融資を続けていくことになる。

 中央銀行は、国営銀行の求めに応じて、担保もなしに延々とお札を刷り続けるということになり、国を含む債務は膨らむ一方となっている。2~3年前より、不良債権は年率50%の勢いで増え続けている。

*破綻に向かう中国経済。

 今の中国政府の大失敗は、民間企業を捨てて国営企業の巨大化政策に走っていること。

これで企業間競争は排除され、ただ図体が大きいだけの競争力のない、技術革新も進まない(但し、ハッキング等で企業情報、機密の盗みは積極的にやっているようだが)巨大企業を多く誕生させようとしている。この政策が経済活動のバイタリティを奪っており、従って経済の発展を阻害する要因ともなっている。

 第2に、中国では数年前に不動産バブルが崩壊し、それを立て直そうと今度は株式バブルを演出した。これも経済の先行き不安や、ドル資産流出により暴落すると、今度又、不動産バブルを創り出そうとしている。不動産も株式も実体経済ではなく、上昇してもバブルであるのに、バブルが弾ければ巨額な負債が更に膨らむだけであるのにである。

 こういう目先だけの不良債権が増大するだけの政策の繰り返しの愚策の連続は、明らかに国の破綻に向かっているとしか思えない状況だ。

 中国の外貨準備高も約329兆円(?)まで減少してきており、不良債権の増大とともに、外貨準備も減少を続けている。

*業種によっては、ドシャ降りだ。

・ 此のたび山口の名門企業「トクヤマ」がマレーシアに2000億円かけて建設した太陽光発電用のシリコン工場を韓国企業に約100億円で売却した。社運をかけた工場建設であったが、他の業種と同じく中国企業による過剰生産により、シリコン価格が暴落、先々も回復不能と見て泣く泣くの売却となった。「トクヤマ」の自己資本比率は40%から13%まで低下した。

・日本郵船が特損1950億円(4~9月)を計上した。商船三井1704億円の赤字、川崎汽船2期連続の大幅赤字と、中国の景気減速をモロに受け、海運市況が大幅に悪化、保有船舶の簿価を引き下げ大幅な減損計上となった。韓国最大手も倒産した。

*週刊新潮、「変見自在」・・・・著者 高山正之

 例えば製鉄の歴史を見ると、まずスウェーデンがいい鉄を売ったが、英国がコークスを使ったもっと純度のいい鉄を売りだした。それを刺激に欧米各国で新しい炉を研究し、平炉や電気炉、熱風吹き込み式のベッセマー転炉などが次々と登場してきた。

 競い合いは発明の母だ。その点、日本は周りがシナ朝鮮。いい刺激は一切ないから結局、独り我が道を行く定めにあった。だから、今の歩行型ロボットにも四敵する絡繰り儀右衛門が出たところで、さてそれをどう兵器化するかとかの発想はなかった。日本は昔から平和だった。

 それでも国際社会で目標が設定されれば日本は強い。ピエール・キューリーが水晶に通電すると正確な振動をすることを発見する。それを使えば正確な時計が出来る。世界中の時計屋がクオーツ時計を目指したが、装置は箪笥より小さくはならなかった。箪笥をしょって「正確な腕時計」もない。世界が諦めた時、我が精工舎が箪笥をとうとう腕時計の中に入れてしまった。精工舎はその特許をただで世界に公開した。せこいビル・ゲイツとは違った。

 箪笥の何倍もあるディーゼルの小型化では、ヤンマーの山岡孫吉が成功した。今は世界の車がその恩恵に浴すが、ワーゲンは山岡式エンジンに加え、排ガス規制逃れのアプリを付けて特色を出している。(?)

 ただゴールがあると強い日本も枠を超えたアイデアには問題があった。その凄さを、周りとくに役所が理解出来なかった。東北大教授八木秀次が超短波無線の指向性アンテナを発明した時もそう。日米英で特許が下りた。米国ではすぐ暗夜の飛行機誘導やレーダー受信などを試して有用性を確認した。日本では軍部が「自らの電波を発信するなど狂気の沙汰」と実験すら拒否した。翌年2月、シンガポール陥落で鹵獲(ろかく)した英国製電探がすべて八木アンテナで機能していることを知った。

 同じころ、現TDKの武井武が非金属磁石フェライトを発明、特許を取った。これを機体に貼ればステルス戦闘機が出来る。しかし戦後、フィルップ社が戦勝国の立場を使って日本政府にフェライト特許の放棄を要求し、特許局は愛想よく署名した。

 東京五輪のあった年、東北大教授の西沢潤一が画期的な光通信技術の特許を出願した。特許庁は「書類に不備」「意味不明」で申請を突き返した。西沢は再提出を20回繰り返したが、その都度別の因縁がついてきた。同じ時期、西沢と旧知のチャールズ・カオが米国に渡って同じ論文を発表した。彼はのちにこれでノーベル賞を受賞した。一方、米コーニング社も西沢と酷似した技術で特許をとり、その特許権で西沢方式を採用する日本企業を訴え、ぼろ儲けした。日本の知能を無能な日本人が潰したいい例だ。

 夢の原子炉といわれた高速増殖炉「もんじゅ」が事実上廃炉となった。これも世界がヨーイドンで始め、日本が94年に初臨界点に達した。2番目はロシアでつい先日動き出した。・・・・・続く。

北九州市 解体業 石川興産