マーケットトピックス H30.9.7

*トランプ、これから日本と貿易交渉だ。米の対日赤字が拡大してくると、9月下旬に予定されている第2回日米通商会議(FFR)での貿易不均衡是正圧力への警戒感が高まる。トランプ政権は、対墨、対加、対ユーロに於いて厳しい対応をしており、2017年我が国の対米黒字、約7兆円のうち5,4兆円が自動車関連であり通商拡大法232条の適用による自動車関税25%が発動される可能性もある。

*中国鋼材先物反落。政府によるインフラ投資、10月からの環境減産への思惑で鋼材価格は上昇していたが、現況では高値調整的な値下がりとなっているようだ。9月は10月の環境減産を控えての駆け込み増産となると思われるので、調整は一時的と見る向きが多い。ただ、米との貿易戦争による影響はボディブローのようにジワジワ利いてくるものと思われるが、スクラップ需給だけみると電炉操業が飛躍的に増加している現状から、大幅な下落場面は、大規模な環境激変局面がない限りないように思われる。中国政府も比較的クリーンな電炉操業には好感的である。一方、株式市場は貿易戦争の深刻化からと、政権のシャドウバンキング(影の銀行)規制により値下がりが続いている。

*米スクラップ反発。米のトルコ向け輸出価格がようやく持ち直してきた。対米との関係悪化からトルコリラの暴落、インフレの加速、経済状況の悪化が続いており、さすがのスクラップ輸入世界一国も為替安、景況感悪化に苦しんでいたが、好調な世界経済からユーロ圏ヤロシア等を中心に需要は活発であり、電炉操業も漸く上向きとなってきたようだ。又、サウジと対立しているカタールをトルコが一貫して支援していた影響で、カタールもトルコの窮状に1兆6000億円の投資を決めた。

*今の中国の覇権主義は。まるで16世紀~18世紀にかけて、イギリス、スペイン、オランダ、フランス、ポルトガル等がアジアやアフリカ、南北アメリカ大陸等で植民地獲得のために戦いを繰り広げた「重商主義」時代を見るようである。当時の重商主義は貿易、宗教、軍隊を絡めて世界各地に進出し植民地支配を広げて行くというもので、最終的には「東インド会社」という貿易商社を隠れ蓑にして支配を広げたイギリスが世界の覇者となった。現在中国が国を挙げて力をいれている「一帯一路」は現代版「重商主義」の復活である。重商主義時代に「清」の国であった中国はイギルスから「アヘン戦争」でこっぴどく叩かれ,「清朝」滅亡のきっかけとなった。その中国が現代版「重商主義」で世界制覇を企んでいる。

*ベネズエラ、年間の物価上昇率20万%に。先月デノミネーションを行った影響が大きく国民の近隣諸国への脱出が続いている。反米のチャベス前大統領のあとを受けたマドロウ政権で、経済危機はまして来ており「デフォルト」もありうる深刻な状況となっている。これにも中国が絡んでおり中国からの借入返済の為に収入減の原油を安く抑えられているようだ。まるで骨までしゃぶる高利貸し国家である。