No.56-遠吠え通信迷惑版

遠吠え通信迷惑版(H30.2.15)

*一寸先は闇!?

 先週の米雇用統計で平均時給が+0,3%と予想を0,1上回ったことから、利上げが早まるぞと、米長期金利が急上昇、それに伴い米株の暴落、為替は円高~それが連鎖して世界的な株価急落局面となってしまった。トランプ政権が誕生して1年、1万8000ドル近辺だった米株価が景気の堅調さもあり2万7000ドル前後まで上昇していたことから、FRBがこれまで3度の利上げを実施し、今年も3~4回の利上げを想定していることを踏まえ、いつ調整に入ってもおかしくない状況下でもあった。当然金利が上昇してくると資金は株式市場から債券市場に移動、必然的に株式価格は値下がりするのだが、最近はアルゴリズム取引とかVIX指数先物とか電子取引が主流となっていることから、一旦売り物に押され始めると、それに電子取引が反応して更に売り物が一斉に断続的に出ることになり、思わぬ暴落となることがある。今回の動きがまさにそれである。この先、堅調な経済指標が続くようであれば、更なる金利高騰が起こり株価の暴落も何度となく起こることになる。

*手出しは無用

株式市場も低金利市場での金融相場は終了しこれからは業績相場に入っていくものと思われるが、当面「手出し無用」とした方が無難である。一寸先は闇の要因はやはりトランプであり米経済であり、アメリカ第一主義を標榜するトランプの貿易不均衡問題がどうなるのか、大型減税、インフラ投資での債務の巨大化にどう対処していくのか、巨額な債務ばかり膨れ上がると、ドルの大暴落が起こることもあり得る。又、巨額債務といえば、それ以上に不透明な中国はどうなるのか

今、世界経済は非常にリスキーな未知な世界に足を踏み入れているように思われるが、これが思い過ごしであることを祈るばかりである。

*ホテル、カルフォルニアからのチェックアウト。~トレーダーズニュースより。

「米国連邦準備理事会(FRB)の仕事は、パーティが盛り上がり始めたら、参加者から不満が出てもパンチボウル(酒が入ったボール)をさっさと片付けること。」(マーチン第9代FRB議長)

  • ホテルカルフォルニア的金融政策

 2012年、フィッシャー米ダラス連銀総裁は、量的緩和政策第3弾に対して「我々は、私がホテルカルフォルニア的金融政策と呼ぶリスクに瀕してる。理論的には我々はこのプログラムから好きな時にチェックアウト出来ることになっているが、我々はFRBのバランスシートを膨張させ続けており、実際はこの状況から抜け出すことは出来ないかも知れない。」と懸念を表明していた。イーグルスの名曲「ホテルカルフォルニア」では、「落ち着いて自分の運命を受け入れるのです。チェックアウトは自由ですが、ここを立ち去ることは永久に出来ません」という迷宮のようなホテルを舞台にしたメタファーがテーマとなった。

しかしながら、パウエル第16代FRB議長も反対を表明していたことが判明したQE3は終了し、イエレン第15代FRB議長は、バランスシートの正常化、すなわちチェックアウトの準備をしながら、パウエル第16代議長へホテルカルフォルニアからの出口戦略を示した。昨年、元ゴールドマンサックスのカーニーBOE(英中銀)総裁はチェックアウトしており、今年末には、元ゴールドマンサックスのドラギECB総裁もチェックアウトする予定ちなっている。

 すなわち、非伝統的な金融政策である量的金融緩和政策は、ホテルカルフォルニアのようなチェックアウトが出来ないような迷宮ではない、ということが判明している。

  森の奥の熊の家に迷いこんだゴルデイロックスは、熱いスープ、適温スープ、冷たいスープの中からの選択が可能だったが、ホテルカルフォルニアでは、1969年という年代にこだわらなければ、自由にワインを飲めることから居心地はいいのかも知れない。

*黒田日銀総裁のチェックアウト時期

 黒田日銀総裁は、2013年4月に、異次元金融緩和策を打ち出し、2年間で物価目標を2,0%達成を宣言した。すなわち、ホテルカルフォルニアへの滞在予定は2年間だったが、任期5年目の2018年春を迎えても、物価目標の達成は道半ばの状況となっている。総裁続投が決まれば、パーティは終わり、主要中銀総裁がチェックアウトした後のホテルカルフォルニアで、日本酒での酒盛りを続けていくことになる。

 黒田日銀総裁は、財務官時代の円売り介入で、米国債の買い持ちポジションを増やした。そして、日銀総裁として、日本国債の買い持ちポジションを増やし続けている。すなわち、世界最大規模の債務国である日米の債務証書を抱え込んで要るわけだが、国家的デット・アサプションにより、宿泊料金を踏み倒す算段かも知れない。

*崩壊する民主主義、新帝国主義時代の到来~アパホテル会長藤誠志(ペンネーム)「米大統領選混戦の背景には東西冷戦終結の影響がある。」、

 混戦のアメリカ大統領選挙の背景にあったのは、戦後、アメリカの西側世界支配の手段は、IMF,国連、WTO等であったが、東西冷戦終結で世界の経済支配がアメリカの手を離れ、グローバルスタンダードが善だと主張する国際金融資本に移ったことである。冷戦まで豊かだったアメリカや西側諸国と、その何倍も貧しい人が多かったロシアや中国など、東側諸国だが、冷戦終結で両者を隔てていた鉄のカーテンが消滅した。

 間仕切りによって水位の高さに高低差がある水槽の間仕切りを取れば、水位の高いところは低くなり、低いところは高くなる。しばらく水槽の中は大きな波で荒れる状態となる。それが正に今の状況だ。東側の安い労働力のあるところに、工場が移転して作られた安い製品が、西側に流入して物価を引き下げ、デフレを引き起こし、金利を引き下げた。

 逆に西側の高い賃金で作られた商品は売れなくなり、工場が閉鎖され失業者が増えていった。最初は商品だけだったが、次には西側の高賃金を求めて、東側から人が流入、失業率の上昇に拍車を掛けるようになった。

 この状況でメリットを得たのは、安い労働力を歓迎する国際金融資本で、欧米を股に掛ける、モルガンやロスチャイルド、ロックフェラーの三家族の財閥グループといった一部の大資本家だけだった。彼らの莫大な利益は、タックスヘイブンを使ってほとんど税を払わず、グローバルスタンダードの名の下に、国家間の垣根の取り払われた金融業界に流れ込み、さらに金利を引き下げたが、その資金は膨大なものとなった。

*1パーセントの富裕層と99パーセントの貧困層

 私はこの世界的デフレ・超低金利の後、日本はハイパー資産インフレとなる可能性が高いと思う。これに庶民が対抗出来る手段は今のうちに、低金利住宅ローンで自分の家を持つことだ。資本も資産も持たない労働者はますます疲弊するばかりだ。その結果、「21世紀の資本」でトマ・ピケティが主張したように、1%の富裕層と99%の貧困層を生み出してしまっている。

*白人労働者の反撃、トランプ大統領の誕生。

 移民が増え続けるアメリカは、白人国家から有色人種国家へ変わろうとしている。トランプ大統領を支持しているのは、この流れの中で、構造的に貧しい境遇に追いやられた白人層だ。さらに言えば、今回のトランプ現象の遠因は、8年前のオバマ大統領の誕生だ。安い賃金の移民に職を奪われ貧困に陥り、情報と法律と金融を握り、世界を股に肥え太る国際金融資本を横目で見つつ、彼らが支持する黒人大統領に8年間耐えてきたプアホワイト(貧しくなった白人層)が、これら全ての構造をひっくり返そうとする「揺り戻し現象」がトランプ支持に繋がったのである。

*間違った報道を流し続けるマスコミ。

 森友、加計、南京大虐殺、慰安婦問題どれをとってもマスコミは物事の本質を捉えていないものが多く、間違った報道で国民を洗脳、誘導することは、報道の自由とは言うものの、これはひとつの犯罪である。真実を報道せずにイデオロギーを異にする保守政党ばかり攻撃する手法はペンの暴力と言われても仕方なく、何とかしなくては国民が物事の本質を間違って捉えることになり、如いては国政を誤ることにもなる。

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