No.52-遠吠え通信迷惑版

遠吠え通信迷惑版(H29・5・29)

*先の読めない世界

 昨年は英国のユーロ離脱、米国大統領選での、まさかのトランプ勝利、今年に入ってからは仏大統領選で極右のルペン候補の善戦もあり、もしユーロ離脱を主張するルペンが当選でもすれば、英仏と独の内、ユーロの中核国家である2か国が抜けるとなると、残る独1か国でユーロを支えることは出来ず、つまりはユーロ崩壊となる危ない状況でもあった。事前の予測でも、ルペンはないとはなっていたが、英国やトランプのときも、それはなかろうというのが、大方の予測であり、今の世界は何が起こるのか、まったく先の読めない世界と化している。明日、北朝鮮で何か起こったとしても、おかしくない世界となっているのである。

*やはり危険な中国経済

 この度、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが中国の格付けを上位から5番目にあたるAa3(ダブルAマイナス)に引き下げた。中国の成長率が低下する中、債務が増え続けており不透明さが増しているというのが格下げの理由であり成長率も今後減速が続くとしている。間近の数字を見ても、1~4月のインフラ投資が前年同期に比べ2割増加したが、反面1~3月の財政赤字は1551億元(2兆5千億円)まで膨らんだ。現在2600兆円といわれる中国の債務残高は、米英のニューズウィーク、ウォールストリートジャーナル、ブルームバーク、フィナンシャルタイムズ等の調査で発表の数倍規模ではないかと言われてもいるし、高度成長当時からのGDPも実際は地方政府等の大きな水増しがあり、実際は半分の伸びもないのではないかと言われている。すぐにはとは言わないが、近々中国経済が破綻することもあるのである。

*一帯一路もAIIBも中国が利するためのものだ。(1)

 5月中旬に「一帯一路」の国際会議が北京で開かれた。会議では習近平が7800億元(約12兆8000億円)のインフラ整備資金を追加拠出すると声明を出したが、この資金をどこから捻出するのか話題となっている。というのも、現在の中国の外貨準備高は3兆ドルで世界一ではあるが、対外債務も4,6兆ドルに膨らんで来ており、その資金をすべてドル建てで賄うことが難しい状況にあるからだ。中国は、国内景気を大量の人民元を印刷して景気対策に充てており、その手法を今度は国外に向けて行おうということである。では、その人民元を誰が受け取るのか、何のことはない、これらのプロジェクトの頭企業は中国企業が請け負い、中国企業であれば、人民元の支払いには何の支障もないからだ。下請け企業や、発展途上国等は泣く泣く将来的に下落するであろう人民元を押し付けられることになる。中国にとってこれは自国企業の世界シェア拡大にもつなげることになり、人民元の国際化にもつながる大プロジェクトとなる。

*AIIB~中国が主導するアジアインフラ銀行。

 

*中国を利するだけ(2)

 人民元の大量印刷で国内景気を維持させていたが、これが頭打ちとなったいま、この一帯一路、AIIBの運営でも、人民元を大量発行、自国企業等を通じてドルを獲得し還流させるという大いなる中国の陰謀に他ならない。これで得た資金で軍事力を強化し周辺国に軍事的圧力として跳ね返ってくることになる。民主主義国家及びその先進国の多国籍企業群は目先の欲ばかりに走らず、もっと世界平和や高尚な企業理念等にそった行動を示すべきである。欧米諸国は、昔は植民地として世界の大半を支配していたなごりか、なりふり構わず利益のみを追求する土壌があるようだが、これでは一向に世界の平和に繋がらない。この非民主的で野望を隠さない共産主義国家とは取引しない、付き合わないという強い気持ちが大切である。

*景気をけん引する米国は、トランプは!

 好調といわれる米国景気だが、2009年6月より、95か月連続して景気の拡大期間が続いており、1960年以降の平均継続期間の70か月をはるかに超えてきているということだ。回復の度合いが緩やかということもあるが、そろそろ金融の引き締めにも入って来たこともあり、又、自動車ローン等が3月末時点で1,17兆ドル、カードローン、住宅ローン等の合計の家計の債務残高が12兆7250億ドルとサブプライムローンで金融危機に陥った08年9月を上回る水準に達していて、特に自動車ローンは、調査機関によると、3000億ドル~4000億ドルがサブプライムと推定されておりFRBが6月に金利を上げ、トランプの景気対策が「ロシアゲート」等により、議会の支持を得られない場合は、株式市場は急落し、金融破たんが急増、新たな経済危機が生じる可能性も出てくると思われる。

*トランプ効果はリスクへ変化

 トランプの予算教書では、大型減税で経済成長率を3%に高め、財政収支を10年で黒字転換させると謳ってはいるが、具体策はなにもなく、巨額の歳出削減は主に医療保険や生活保護者等の低所得者向けの給付カットが中心であり、富裕層には大幅に減税し、相続税の廃止等で、自身が支持を受けている白人の労働者(低所得層)層に対して配慮がなされておらず、世界的に所得格差に対してのポピュリズムの高まりで混乱が拡大していることへの配慮もされていないことでは、今でも低い支持率がもっと低下して身内の共和党の支持も失うことになりかねない。恐らくトランプ政権では米国は持たず、世界も米景気の減速に巻き込まれることになる可能性も高いように思われる。

*鉄鋼業界も先行きは不安要素あり

 現在のところ、米景気は堅調、中国も懸命な景気対策で底割れは回避されているものの、米国景気、中国景気とも、先行きは限りなく不透明さが漂っており、このまま順調推移とは行かないと思われる。日本には東京五輪特需があるが、輸出国家である日本は世界景気が悪化すると、そく風邪ひき状態となり悪化してしまう。中国からの鉄鋼、鉄屑輸出にも注意が必要である。

北九州市 解体業 石川興産