マーケットトピックス R1.8.13

*貿易戦争拡大。トランプ大統領が9月1日より対中制裁関税第4弾(3000億ドル分への10%関税)の発動を警告。その後、中国商務省は中国企業が米国産の農産物の輸入を停止したことを明らかにした。又、中国人民銀行(中央銀行)は人民元がオフショアで、2008年以来の7人民元台への上昇を黙認し「為替操作」に踏み切った模様。結果米財務省は中国を25年ぶりに「為替操作国」に認定し米中は「貿易戦争」に加え「通貨安戦争」に突入した。 この先、9月1日より、対中制裁第4弾を発動さすと、中国は対抗処置として、従来から言われている「米国債」や「米国株」を売却する可能性が高まっている。これが、確認されると世界中のヘッジファンド等の投資家が所謂「チョーチン売り」に一斉に入り、「トリプル安」(米債、米株、米ドル)となる。この場合、安全通貨としての有事の「円買い」「スイスフラン買い」が起こる。

*中国の強引さが世界波乱の元凶。2019年1月~6月の世界粗鋼生産量は前年同月比4,9%増の9億2506万トンと過去最高だった。世界の5割を生産する中国は9,9%増の4億9216万トンと過去最高水準となっている。世界の景気が下降している中、鉄鋼需要も低下傾向となっているが、中国では老朽設備のリプレースという名目で「キャパアップの設備増強」が依然行われている。西側諸国の雪崩を打った如くの進出で経済史上、稀にみる発展を遂げた中国はそれで得た資金を軍事増強につぎ込み、経済的なシェアアップだけに留まらず、他国領土、領海に触手を伸ばして来ている。この人権も国際秩序も守らない共産党国家がこれからの世界の最大ネックとなって来ている。中国共産党の動きにより、世界に激震が走ることになる。

*相変わらずの英政界。現在休会中の英議会が9月に再開されるが、最短9月3日に内閣不信任案が可決される可能性がある。EUとの協議でも進展はなく、就任したばかりのジョンソン首相は、不信任可決の場合は総選挙をEU離脱期限である10月31日以降に行うとしており、いよいよと「合意なき離脱」への秒読みとなってきつつある。 又、4~6月の英GDPは市場予想0,5%プラスのところ▲0,2%と市場予想をを下回り、悪化して来ているところも、ポンド安を増長している。

*トランプ、禁じ手連発。トランプ大統領は0,25%の利下げを決めたばかりのFRBに、今度は1%の利下げを要求している。世界的に各国中央銀行の金融政策には政治が関与すべきでないということが常識であり許されないこととなっているが、そんなことお構いなしに、トランプ大統領は米中貿易戦争が拡大、通貨安戦争にも波及して、来年の大統領選挙に備え景気の拡大を図りたいというとのことから、金利を更に低下させて景気拡大に繋げたいようだ。 トランプ大統領は「FRBが他国に比べ金利を高めに設定していることがドル高に繋がり、偉大な米製造業が公平な条件で競争することを困難にしている」と吠えている。