マーケットトピックス R1.10.7

中国問題深刻化進む。日本製鉄は本年度単独経常損益が650億円の赤字となったと発表した。(前期は1123億円の黒字)世界経済、中国経済の低下が続く中、中国の粗鋼生産は、1月~8月では前年同期比9,1%増の6億6487万トンとなっており、これは年ベース10億トン超えとなる空前の生産量となっている。中国では需要低下となっている現在でもスクラップ&ビルドの名目のもと、湾岸地域や海外にさらなる製鉄所の建設を続けている。中国は鉄鋼だけでなく、軍備も含めた主要産業全般において寡占化を図ってきており、習近平による「強国化」を強力に進めてきている。これは世界人類にとって決して喜ばしいことではなく、見方によっては「人類の危機」が迫っているとも言えそうだ。このような世界の変革期には、トランプ、ペンスといったある意味強力な米政権が必要である。

ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼~松尾匡著より。「ソ連型システムとはどんなものだったか」ここでソ連型システムと呼ぶのは、ある程度以上の規模の企業は原則すべて国有にして、国の中央からの指令に従って生産する経済の仕組みを指しています。ソ連では大体1928年頃に確立して、第二次世界大戦後、ソ連が軍事占領した東ヨーロッパの国々や北朝鮮に押し付けられ、その後共産党が武力制覇した中国でも採用されたものです。

これらの国々では、政治的には「マルクス=レーニン主義」を看板に掲げる政党が一党独裁して、マスコミも出版も政府の言いなりに統制し秘密警察などを使って反政府の動きを厳しく弾圧する体制を敷いていました。当時これらの国々は「東側」と呼ばれ、アメリカや西ヨーロッパや日本などの「西側」と呼ばれる先進資本主義諸国と、「冷戦」と呼ばれる対抗関係を形作っていました。 もともとロシアでは、昔は専制政治体制がとられていたのですが、第一次世界大戦で負け続けて人々の暮らしもどんどん苦しくなっていたので、とうとう1917年3月に「パンと平和」を要求する民衆が革命に立ち上がって、長く続いた帝政が打倒されたのです。ところが、その後の臨時政府の下でも政情不安は収まらず、そんな中で11月にウラジミール・レーニン率いるボルシェビキ(後の共産党)が武装蜂起して政権を奪取します。それに反対する勢力との間で、血みどろの内戦となり、レーニンたちは秘密警察や強制収容所を作り、逆らう者を情け容赦なく弾圧して内戦を乗り切るのですが内戦が終わった後もこれらの弾圧システムはまったく緩むことなく残りました。レーニン死後「ヨシフ・スターリン」が権力を握り、ソ連型システムとして「農業の集団化」と「第一次5か年計画」が始まった。革命で農民たちが地主から獲得した土地を再び取り上げてしまい、彼らを集団農場に閉じ込め、食うや食わずの穀物だけを残してあとはタダ同然で取り上げて、それを元手にして重工業中心に国営工場を続々と建設させました。これを遂行するために、中央で野心的な生産目標を掲げ、各工場に「ノルマ」を指令するシステムを作り上げました。*「ノルマ」という言葉はここから出来たロシア語です。スターリンは抵抗する農民たちを容赦なく殺し、過酷な労働を強いるシベリア送りとしました。「反革命」とされ殺され、強制収容所に送られた人々は数千万人にも及んでいます。