No.35-遠吠え通信迷惑版

リスクオフの円高、株安。
残念ながら、米の12月利上げ以降、中国の景気減速に加え新興国、資源国を中心に景気の悪化が進行し、ドイツ銀行の経営不安説も加わり、リスクオフの「円」買いが続いている。

円高イコール輸出企業の減益となるところから、通期の減益決算を見込んだヘッジファンドの売り浴びせが連日入ってきており、為替、株式市場は非常に難しい局面を迎えている。

本来であれば、米利上げでドル高円安を演出するはずであったが、肝心の米景気が世界的な景気減速を受けて指標によっては陰りが出ている部分があり、投資家心理の悪化に拍車を掛けている。

これを受けて2度目以降の米利上げは遠のくのではという憶測からドル売りも活発化している。

海外のヘッジファンドでは12年半ばより、円は2割下落し、人民元は2割上昇した。
日銀の異次元緩和により格差が開いたが、米利上げにより緩和相場が終了したと見て、
この先、人民元は25%下落し、円は25%上昇するのではと予測する向きもいる。

この先どうなるかは、中国の景気動向を含む複合要因の絡まった状況が、いつ落着きを見せて来るのかにより、それがある程度確認出来ればリスクオンとなり円高も終了するものと思われるが、今回の複合的な混乱状態は簡単には終わらないとみて、しばらくは円高傾向が続くと見た方がよさそうだ。
日本経済にとっては、痛い痛い残念な円高である。

中国ショックに備えよ!
中国のGDP6.9%増というのは、世界と自国民に対する誤魔化しである。以前遠吠えでもお伝えしているが、やはり15年度の輸入が前年比マイナス14.1%なのにGDPがプラスということは先進国の過去の統計から見てもありえないことである。

輸入とGDPの相関関係は「正」の関係であることは常識であり、輸入がこれだけマイナスなのにGDPがプラスということは、摩訶不思議なことで普通では考えられないことである。

その国の貿易量、輸出も輸入も相手国のあることなので、これだけは誤魔化しが出来ず、片やGDPは各省庁、地方政府から上がって来る数字であり、その数字が共産党内での自身の査定に繋がるものであれば、臭い物には蓋をし、いい数字だけを計上するということは有り得ることである。

まして、全ての身分(出世)も金次第と言われている中国である。恐らく改ざん等などは当たり前のことで常態化しているものと思われる。

現在の中国の債務合計は国、地方政府、各種企業全体で2014年末で150兆元(約3000兆円)を超えており、現在はもっと増加している。それに対して外貨準備高は3兆2308億元(約378兆円)となっている。

外貨準備高は本年1月だけで994億ドル(約12兆円)減少しており、これからも人民元の安定のために市場介入を続けていく限り外貨準備は減少を続けることになる。

ここに中国がIMFのSDR(特別引出し権)獲得を急ぐ理由があり、現在ドル建てである決済を人民元で決済出来ることになれば、これまで国内に限られていた人民元を使用することが出来、足りなければ印刷するだけのことである。

中国の場合は、輸出されたものの代金は人民銀行に入り、輸出企業には人民元で支払うシステムをとっている。20~30年好調な輸出が続いた為、国内のマネーサプライは急激に増加し、それが過剰な設備、債務へと繋がった。

 

*中国の債務は3000兆円
その内、地方政府債務は2014年6月の時点で24兆元(約480兆円)あり本年では30兆元(約600兆円)を超えているものと推定される。又、銀行の不良債権額も昨年末の時点で1兆8000億元(約36兆円)となっており、重厚長大企業の赤字が続いていることから更なる増加が想像出来る。

これら莫大な債務に加え、63億平方メートル(2億人分)にも及ぶマンションの不良在庫、全国に何千箇所もの廃墟となった工業団地、商業施設等々とても正常な国家としての姿とは思えない。

又、中国の国防費は2015年で前年比10.1%増の8869億元(約16兆9000億円)あり、国内の治安維持費も同程度あると言われているが、経済成長が止まったと思われる今、国防費、治安維持費で30兆円~40兆円の負担は財政に重くのしかかり今後問題化することは間違いない。(国防費、実際はこの倍はあるのではという見方もある。)

*ドイツ銀行が危ない。
日本で言えば三菱UFJ銀行が危ないというような話で大騒ぎになっている。もともと超多額なデリバティブ取引(取引額55兆ユーロ(約7150兆円))で多額の損失が出たといったところから、いろいろな噂が出ているようだが、フォルクスワーゲンの主力銀行でもあり、デリバティブ取引もギリシャ関係が多いとか、ここ3年間でLIBOR取引で不正があったとして米司法省等に総額で2兆円以上の罰金等の支払いがあったとか、さまざまな話や噂に市場が混乱している。もし倒産でもしたらリーマンショックどころでなく、世界はとんでもない危機に陥る。

*世界中の鉄鋼メーカー苦境に!
鉄鋼最大手アルセロール・ミッタルの最終利益は4年連続の赤字となり、赤字幅も前年度の10億ドルから79億ドルに拡大した。韓国のポスコ、インドのタタ製鉄も赤字となり、米USスティールも15年10~12月期の最終損益が9億9900万ドルに膨らみ経営危機の噂さえ聞こえる。我が国の高炉各社も例外ではなく大幅減益予想となっている。今回の世界的な不況は先が見えない複合的な不況であり長期的な対応が必要である。

北九州市 解体業 石川興産