マーケットトピックス h31.2.4

*中国経済の変調(灰色のサイ)米中貿易戦争の長期化で中国経済に変調の兆しが表れ始めている。現在でも超過大な債務を抱える(内外債務約4500兆円)中国であるが、この度低迷を始めた景気(すでに0%に近いという調査もある)の下支えとして大規模減税を主体とした40兆円規模の景気対策を打ち出した。中国ではこれまで経済を牽引してきた株式市場や不動産市場(マンションの空き室5000万戸)において昨年秋口から値下がりが続いており、世界で「灰色のサイ」がささやかれ始めている。

*「灰色のサイ」(グレーリノ)はマーケットにおいて、高い確率で存在し、大きな問題を引き起こすにも係わらず、軽視されがちな材料(問題)のことを言います。これは米国の作家・政策アナリストのミッシェル・ウッカー氏が2013年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で提起したもので、その著書によると、発生する確率が高い上に、影響も大きな潜在的リスクのことを指します。その語源は、草原に生息するサイは体が大きくて反応も遅く、普段はおとなしいのですが、一旦暴走を始めると誰も手を付けられなくなること(爆発的な破壊力)に由来します。

*一般に「灰色のサイ」は、今は問題視されてないものの、いつか市場で大暴落を引き起こしかねない材料であり、例えば、不動産バブルや債務膨張、不良債権、地域紛争、インフレ、少子高齢化、格差拡大、政策変更など、常に世界の至る所存在します。従来、成長と緩和が併存する「ゴルディロックス相場」(適温相場)の前は、「灰色のサイ」が現れると市場に緊張感が走り、投資家も身構えましたが、「適温相場」が続くうちに慣れてしまい、危険の予兆を目にしているのにも係わらず、注意を払わなくなってきました。その一方で、「灰色のサイ」が暴れない性質になったわけではなく、むしろ息を潜めて群れをなしているのが、現状であり、投資家はいつ暴走が始まっても対処できるように、警戒レベル(リスク対応力)を高めておく必要があります。

*中国の政府債務は約4500兆円とGDP比(約1360兆円)300%といわれており、企業債務約2030兆円、家計債務約730兆円と、信頼性は欠くがこれでも危険水域を超えてはいるが、共産党独裁国家の強権で各地で頻発している小暴動を鎮圧しつつ、一応国家として維持は出来ているようだ。中国では企業が貿易等で稼いだ資金は国営銀行に入る仕組みとなっており、輸出等企業には人民元で支払われる、ここにいくら債務が増加しても国家が維持出来ている仕組みがあると思われる。中国の外貨準備高は10月末で3兆530億ドル(約3270兆円)となっているが、減少傾向が続いている。共産国家の強権ですべてを押さえ闇に葬ることで乗り越えようとしているが、米国との貿易戦争が継続すれば、どこかで一挙に崩落する可能性もある。

*国民の目を海外に、すでに多くの企業が倒産し、多くの失業者が出ており、この春節の大型連休後に、経営者の夜逃げが多発するのではと言われており、戻ってきたら会社がなくなっていたというのも、話だけではなさそうな雲行きであるようだ。その不満のハケ口を習政権は海外に向けさせることもあり得り、南シナ海、台湾、尖閣とひと波乱ないとも言えない。米国に強硬に出る可能性もある。とにかく難しい年となりそうである。