マーケットトピックス H30.7.11

*トランプ政権は対中制裁第2弾の手続き開始。米政権は中国からの輸入品に2000億ドル(約22兆円)に10%の関税を上乗せする追加関税の手続きに入った。発動は9月以降となるが、中国が対抗処置をとると5000億ドルの追加処置をとるとしている。米通商代表部(USTR)は中国の知的財産侵害は「米国経済の未来を危険にさらす」としている。*今回の対中制裁は、トランプ政権の暴走でもなく、米議会が中国に対しての制裁に前向きであり、米国世論調査でも約60%の国民が支持している。世界も中国の諸々の過剰生産について先行きを案ずる意見が多くなっている。

*世界経済は失速か。いよいよ始まった米中貿易戦争、世界の投資家心理は2008年の2月に30.0ポイントを付けた後、本年6月の信頼感指数は15.0ポイントまで低下している。米国の利上げペースも貿易戦争の進展で縮小スパイラルとなる可能性があり、ドル安円高となりやすくなる。6月調査では、鉄鋼、機械はアンダーウェイト(弱気)、電気精密はオーバーウェイト(強気)となった。鉄鋼、機械は貿易摩擦から、電気、精密は人工知能(AI)等、半導体需要の好調によるもの。この貿易摩擦で世界経済はすでに失速しつつあるとみる投資家も多く、各国のPMI(製造業購買担当者景気指数)は低下傾向となっている。

*中国経済大減速の可能性。トランプ政権は中国の対米黒字額を1000億ドル減らすことを目指しているが、この額は中国の2017年の貿易黒字額の4分の1に相当する。中国は巨額債務を海外からのマネーで補っていたが、これが減少ということになれば、中国企業の資金繰りが悪化、デフォルトが急増することになる。

*トルコリラ急落。独裁化を図るエルドアン大統領が、義理の息子を財務相に指名した他、経済担当で副首相だったシェムシェキ氏を入閣させない方針と伝えられ、トルコリラは急落した。これをきっかけに、新興国通貨ショックも懸念されている。

*英国、ブレクジットハードランニングか。EU離脱をめぐって政府内の対立が激化しており、EU離脱相やジョンソン外相が辞任、メイ首相のレームダック化が懸念されている。

*原油相場堅調推移か。米中貿易戦争で景気の腰折れが懸念されてるものの、現時点では需給はひっ迫しており、供給面では、イラン原油の生産減少懸念、ベネズエラ、リビア等の供給不安、カナダのオイルサンドも供給停止になるなど、現時点の相場の先行きは強気である。

*プラスチック廃棄物の海洋汚染。世界的にプラスチック廃棄物の海洋汚染がが問題となってきている。今後この問題はさらに大問題として国連等で取り上げることになり、自動車等のプラスチック製品も将来廃止される可能性がある。シュレッダーダスト(ASR)も車1台から約25%の廃棄物が発生しており、我が国でも年間120万トンの処理の無害処理の技術的な確立が急務である。