マーケットトピックス R1.5.14

*「日本を滅ぼす岩盤規制」~著者 上念 司

*はじめに。~「岩盤規制」とは、言ってみれば「おバカ校則」みたいなものだ。まず、内容が古い。戦争直後の食糧不足、住宅不足に対処する為に作られたもの、GHQが決めたことをそのまま踏襲しているものなど枚挙に暇ない。どれだけ過去を引きずっているのだ。次に根拠がない。いや、一応表向き「畜産農家の保護とか、減反廃止」といった美しい大義名分はある。ところが、その効果は、検証されることなく、全く別の目的(大概は既得権の温存)に利用される。そして、一番問題なのはこれが最終的に社会主義経済に行きつくという点だ。「岩盤規制」は自由主義経済の対局にある。その背景には、「自由な経済活動よりもエリートが敷いた線路の上を走った方が経済は発展する」という誤った思想があるからだ。残念なことに、これほど誤ったルールが、「それがきまりであるから」という理由だけで未だに生き残っている。なぜなら、その上に胡坐をかいて楽して金を儲けるモデル、いわいる「既得権」が横たわっているからだ。自分は関係ないと思っていても、普段は気付かないところに「岩盤規制」は厳然として存在し、我々の生活を圧迫する。それはスーパーの乳製品売り場にも、病院のベットにも、銀行のATMにも、子供が通う保育園にもべったりとこびりついて離れない。「牛乳が余っているのにバター不足が起こったり、保育園をいくら増設しても待機児童が減らなかったり、NHKの受信料が全く使われずに貯金されているのも、すべて岩盤規制のせいだ。」本来それを告発すべきテレビ、新聞も実は岩盤規制でオイシイ思いをしている。「いま日本に存在する岩盤規制の大半は古い自民党体質の残滓である。」バブル時代「日本は最も成功した社会主義国家である。」というジョークがあったが、あながち間違いではないかもしれない。日本は自由主義経済であるにも拘わらず、ありとあらゆる業界に社会主義的な規制が存在している特異な経済構造を持っているのだ。これは戦時体制の名残か?それともGHQの置き土産か? 本来、こういった古い自民党体質と対決し、改革を要求するのは野党の務めだ。ところが維新の会などごく一部を除き、野党は完全にイカれてしまった。こともあろうに野党が「岩盤規制」の擁護に回っている。あべこべに「岩盤規制」と戦っているのはむしろ安倍政権である。

*象徴的な事件を一つ紹介しょう。安保法制の時のバカ騒ぎを覚えているだろうか。2015年、与党が提出した平和安全法制に対して、民進党をはじめとした野党とそれに呼応した自称「市民」が国会前で連日連夜大騒ぎをしたあの事件だ。この法律は憲法9条に違反し、日本が戦争をするための法案であり、徴兵制が復活すると叫んでいた。彼らは口々に「憲法を守れ!」「立憲主義」などと主張していた。このバカ騒ぎをしていた集団とほぼ同じメンバーが、その後「モリカケ問題」で同様な騒ぎを起こした。しかし、彼らは文科省による重大な憲法違反について完全にスルーした。その問題とは加計学園による今治市での獣医学部新設を文科省が妨害し続けたという問題だ。元財務官僚で特区制度に詳しい「高橋洋一」氏は、この問題の核心について次のように解説している。

*「今回、岡山理科大学が獣医学部を新設希望した愛媛県今治市は、平成28年1月、認可申請出来ないという異常事態を、認可申請出来るという普通の状態にする(国家戦略特区)に指定されました。同じく国家戦略特区に指定された京都府も、京都産業大学に獣医学部を新設の申請をすることを目指していました。そしてこの年の11月、国家戦略特区の諮問会議で獣医学部の新設の申請が52年ぶりに認められ、平成29年1月、今治市が事業者を公募したところ、京都産業大学は準備不足で断念、加計学園だけが名乗りをあげ、今治市で新設の申請をする方針が決まりました。実際の認可は、文科省において検討され、新設が決まったのは文科省の認可が出た11月でした。この認可作業は、文科省関係者のみが関わっています。」

2017年11月、52年ぶりとなる獣医学部の新設が文部科学省の大学設置・学校法人審議会で認可された。今治市と加計学園の15年間の努力が実った形だ。しかし、52年間(獣医学部)を認可申請できない異常な事態が続いたこと、これこそが「憲法違反」であった。そもそも、「憲法」には自由権が規定されている。該当する条文には次のように書いてある。

*「日本国憲法第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする。」

そもそも、国会前でバカ騒ぎをしていた自称「市民」の中には多数の極左暴力集団が含まれていたことが分かっている。およそ民主主義とはかけ離れた思想を持つ過激な共産主義者が「護憲」を叫ぶ。何とも滑稽だ。そんな過激派の浸透を許していた時点で、この運動が本気で憲法を守ることを求めていたかどうかは疑わしい。安倍総理は気の毒である。彼はむしろ憲法違反の文科省の暴挙を止めさせる側にいた。そして、それは「岩盤規制」を打ち破る行為そのものであった。特区制度はそのために利用されただけの話だ。 

*むしろ疑惑があるのは国民民主党の玉木雄一郎議員や、自民党の石破茂議員ではないか? 「彼らは獣医学会から献金を貰ってこの岩盤規制を擁護していた可能性は否定できない。ますます疑惑が深まっている。

*残念ながら日本のジャーナリズムは死に絶えている。玉木、石破問題に切り込むマスコミは皆無だ。実はテレビや新聞も「岩盤規制」によって守られている既得権者であり、文科省の汚職官僚の仲間みたいなものだ。こんな連中に期待するだけ無駄である。

*獣医学部新設問題は日本の「岩盤規制」を象徴する大変判り易い事例だ。国民は自由に商売する権利が憲法で認められている。そして儲けた分だけ納税の義務を負う。

*ところが、国民の自由な経済活動を妨害する邪な勢力が存在する。普段は隠れている勢力の一部が表に炙り出された。「前川嘉平」氏に象徴される文科省の利権集団、「玉木氏」「石破氏」などの政治家、そしてそれを担ぐマスコミだ。実は「文科省の汚職」は想像を絶するものだった。そこには野党である立憲民主党の影がちらつく。なぜなら、逮捕起訴された文科省の佐野太被告と仲介役の谷口浩司被告を東京医大に引き合わせたには立憲民主党の吉田統彦議員だからだ。