マーケットトピックス R1.7.18

*通貨安戦争に波及か。貿易赤字は国家的損失と重商主義的な保護貿易主義を突き進むトランプ大統領だが、対中国との貿易赤字が思いのほか減少していないことから、今後は為替面でドル売り介入を実施する可能性が出て来ている。FRB(米連邦準備理事会)には利下げ圧力をかけ、財務省とニューヨーク連銀には、ドル売り介入圧力をかけることになりそうだ。方法としては、ドル売り介入資金を金融市場に放置して、米金利低下を促し「非不胎化介入」とする可能性が強い。米国の為替介入はこれまで失敗したことがなく円高への注意が必要である。

*予防的利下げ。米FRBは景気の先行き懸念から、恐らく7月末に「予防的利下げ」を実施するものと思われる。これは世界的な利下げの連鎖に繋がり、景気停滞に懸念を示していた新興国等には慈雨の動きとなりそうだ。但し、米中貿易戦争は長期化の様相となっていることから、世界景気の停滞も継続し再度の金融緩和政策は不況下の株高を演出することになっていくと思われる。

*トランプもう一つの難題か。トランプの白人至上主義、女性蔑視等の差別的発言の数々は、先々この政権に重く圧し掛かってくると思われるが、トランプと遊び人仲間の女性問題も、それも少女相手となると、もはや犯罪問題となる。トランプ政権のアコスタ労働長官は2007年の連邦地方検事時代に性的虐待容疑で現在起訴されている投資家ジェフリー・エプスタイン被告と交わされた司法取引に批判が集まっており、2019年になって連邦判事が「当時の司法取引は違法であった」と裁定を下した。この事件は2005年未成年の少女約40名に対する性的スキャンダルが発覚して終身刑の可能性もあったものの、アコスタ・フロリダ州連邦判事との司法取引によって18か月の禁固刑となり、13か月で出所している。*2016年トランプ大統領はエプスタイン氏が開催したパーティで、当時13歳だった少女と不適切なな関係があったとしてカルフォルニア州南部の裁判所に告訴されている。勿論トランプ大統領は否定しているが、当時は仲のいい遊び人仲間であったらしい。

*ブレクジットに揺れ続ける英国。予想外のEU離脱派勝利となった3年前の国民投票から未だに混乱が続く英国は、離脱賛成派のメイ首相の国会運営が失敗続きに終わり、それに代わるべく今回の首相選挙では、更に強硬離脱派の前外相のアレグサンダー・ボリス・ジョンソン氏が圧倒的優勢に選挙戦を進めていることから、新首相に就任することは間違いなさそうだ。ジョンソン氏はEUとの取り決めである10月31日まで、議会を閉鎖しEUと合意なくてもEU離脱を強行するとの発言もしており、「合意なき離脱」が現実味を帯びてきている。さてどうなることやら、当分の間混乱は続きそうである。